2019/5/14

家族の対応により悪循環に陥ってしまうアルコール依存症

 

アルコール依存症患者がアルコールを飲み続けるのを助ける行為を「イネイブリング」と言います。また、その行為をする人を「イネイブラー」と言います。イネイブリングは依存症患者が依存症から立ち直るのを遅らせる主要因です。

 
家族など依存症患者本人を大切に思う人たちにとって、自分がアルコールを飲む手助けをしているなどとは思いもよらないことでしょう。しかし、当人が引き起こしたお酒のトラブルを、良かれと思って代わりに対処することもイネイブリングです。

たとえば、飲みつぶれた本人に代わって会社に欠勤の連絡をすることや、本人が吐いて汚した部屋を片付けてあげることなども立派なイネイブリングになります。なぜなら、飲んだ本人が感じるべき苦痛や困難を軽くしてしまうため、本人はお酒を飲んでも嫌な思いをすることがなくなるからです。

嫌な思いをしないでよいとわかれば、また飲み続けてトラブルを起こすという悪循環ができあがります。

 

依存症患者の周囲の人は、イネイブリングについて知らないとどんどん疲弊していく一方です。家族だから何とかしてあげたいという気持ちは当然ですが、本人が「これ以上飲むわけにはいかない」と心から感じる経験がないと、依存症から抜け出すことはできません。

お酒で作った借金を肩代わりしたり、迷惑をかけた人に代わりにあやまったりしていては本人の飲酒が止まることはありませんし、お酒を捨てたり無理に禁酒させたりしても、本人が心から断酒を望んでいなければ無駄に終わります。

 

もし「イネイブラーかも」と心当たりがあるならば、ぜひカウンセリングでアルコール依存症のことを勉強してください。「私が支えてあげなければ」という気持ちに罪はありませんが、一人で頑張るのは限界があります。ぜひ専門家のアドバイスを受けてください。

 

 断酒のカウンセリングはこちらです。