2022/9/15
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断酒に失敗してしまう理由 |
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アルコール依存症に陥ってしまうと一度断酒に成功しても、またお酒を飲み始めてしまうことがよくあります。 アルコール依存症で入院治療を受けていた人の断酒率に関するデータによると、退院してすぐに急激に断酒率が下がり、2ヵ月半以内にまた飲酒してしまう人はおよそ50%とされています。そして1年間断酒を続けることができた人は3割程度とされています。ここを越えれば断酒率は下げ止まるのですが、このデータを見ても断酒がいかに難しいかということがよくわかります。 どうして大多数の人が継続的な断酒に失敗してしまうのでしょうか?
断酒ができなくなってしまうのは、意志が弱いという理由ではなく、「アルコール依存症は病気」だからです。「ちょっとくらいなら飲んでもいいんじゃない?」「今日は頑張ったら大丈夫」というもう一人の自分が常に囁いている状態なのです。これはアルコールに支配されてしまった脳がそういう信号を送っているからであり、あなたの意志の弱さとは全く関係がありません。 アルコール依存症にはドーパミンという物質が深く影響しています。ドーパミンとは脳に快楽を与えるホルモンであり、アルコールを摂取するとこのドーパミンが過剰に産出されるように体が覚えてしまっているのです。ホルモンは自分の意志でコントロールすることはできないので、「お酒が飲みたい」という状況になってしまうのは仕方のないことなのです。
アルコール依存症には薬物による治療が行われ、きちんと薬を飲んでいる間は比較的コントロールしやすい状態にあります。しかしお酒を飲みたい!という気持ちをコントロールできている状態が続くと、「これだけ止めれんだから薬を飲まなくても大丈夫」「自分は自分の意志でお酒をやめれている」と勘違いしてしまい、自己判断で薬を飲むことをやめてしまう人が多いのです。 これまで薬でコントロールできていただけなので、薬を飲むことをやめてしまうとすぐに逆戻りしてしまい、再びお酒を飲むようになってしまうのです。最初はちょっとだけで満足していたものの、だんだんそれがエスカレートしていき、気がついた時にはまた以前のような状態に戻ってしまうという訳です。
アルコール依存症だと相談できずに一人で頑張っても上手くいかないものです。アルコール依存症は一人で治療することはできません。定期的な受診とアルコール依存症を克服したいと思っている人たちとの交流、そして周囲の人の理解が全て必要です。これら一つでも欠けてしまうと、たちまちアルコール依存に戻ってしまうのです。断酒に失敗してしまう人は「自分なら一人でもコントロールできる」と思って、他者の協力なしで頑張ろうとします。そのため、徐々に断酒ができなくなってしまい元に戻ってしまうのです。断酒に失敗しないためには、「アルコール依存症は病気であり成功率は非常に低い」ということを自覚することが大切です。
アルコールは薬物であるため一人で解決することはほぼ不可能です。しかしアルコール依存症は病気であると認識しておくと自分自身が悪いのではなく、お酒そのものに原因があると気付くでしょう。 毎日の飲酒によりお酒を飲まないと苦しい状態になり、アルコールの摂取だけで過剰にドーパミンを分泌するようになり少しずつ悪化していくために治療が遅れるほど深刻な状況になっていきます。 一定の期間お酒をやめると自分は飲んでも大丈夫と勘違いして一口飲んでしまうと、フラシュバックのように思いだしてしまい。また飲まないと苦しい状態に逆戻りとなります。途中でやめてしまうとストッパーが外れてどんどん断酒に失敗していく回数が増えていくだけです。 アルコールの専門家に相談をするだけで楽になって来て、一定の期間、訓練することでアルコール依存症から抜け出せるでしょう。 |
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