2019/6/6

アルコール依存症は一人で克服できる問題ではない

 
 
 
 
アルコール依存症かそうでないかは、自分で酒量をコントロールできるかどうかです。自分で「これ以上飲まない」と決めてその通り守れるなら大丈夫ですが、ついつい飲みすぎてしまうことが続くようだと依存症と思った方がよいでしょう。

 
アルコールは脳に作用します。お酒を飲むと楽しくなったり不安や緊張が和らいだりしますが、それはアルコールが脳の神経細胞に影響を与えているからです。アルコールによって不安や緊張が和らいだり、楽しくなったり気が大きくなったりする感覚を味わうと、脳はそれを報酬と認識してアルコールを求める回路を脳内に作ってしまいます。
 
 
やがて飲酒が習慣になると、脳は報酬を求めるばかりで本来の機能である情報伝達ができなくなり、自分ではコントロールできない状態になってしまうのです。

 
アルコール依存症は意志の問題ではありません。本人はやめたくても、脳がアルコールのもたらす報酬を求めて勝手に暴走するため、「今日から禁酒しよう」と思ってできるものではないのです。
 
アルコールという物質が脳に作用して起こる症状ですので、条件が揃えばいつ誰にでも起こりえます。意志が弱い人、お酒にだらしない人が依存症になるわけではありません。このことを知らないために、家族など周囲の人は本人のせいと責めてしまうのですが、依存症の当人こそが最も苦しんでいるのです。
 
 
その結果、人に隠れて飲酒したり、自分はダメな人間だと必要以上に自分を責めたりといった問題が起こってきます。

以上のことから、アルコール依存症は一人で克服できる問題ではないことがおわかりでしょう。依存症から回復するには断酒しかありませんが、病気である以上、病人である本人が一人でどうにかできることではないのです。
 
周囲の人がサポートして、みんなで断酒するという意識が大切です。まずはカウンセリングを受けて、問題に正しく向き合うことから始めましょう。