2019/6/6
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アルコール依存症の耐性(ウイスキーをボトル1本開けてようやく酔う感覚) |
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なぜ節酒ではなく、禁酒・断酒しなければならないのかをお伝えします。その理由には大きく分けて二つありますが、まずは精神的な原因を考えましょう。 アルコールに耐性ができた人は、飲む量を増やさないことには以前と同じような酔う感覚が味わえません。ウイスキーをボトル1本開けてようやく酔う感覚が味わえる人に、ビール1杯で我慢しろと節酒を勧めたとしても、当人には欲求不満が募るだけです。 ビール1杯でその日は抑えられたとしても、次の日には前の日の分と合わせた強い飲酒欲求が生まれます。それでも節酒を無理に勧めても、欲求不満は日に日に募るばかりで、いずれは心が折れてしまうでしょう。 ダイエットで節食に取り組んでも食欲に打ち勝つのは難しいことですが、飲酒欲求は食欲より圧倒的に強いため、欲求不満が募った挙げ句、心が折れた時に大量飲酒に陥ってしまう危険性がとても高いのです。 もう一つは身体的な問題です。アルコール依存症の人が入院すると、否応なく断酒することになるため、最初は離脱症状に苦しみます。しかし、離脱症状は1週間もあればなくなり、体内からアルコールが消えて体が楽になります。 ですので、無理矢理にでも入院させれば、入院している間は本人にとっても楽にお酒をやめ続けることが可能です。しかし、一度できたアルコールへの精神依存はなくならないため、体は欲していなくても心は常にアルコールを欲しています。 そこに1滴でもアルコールが入ると、心はアルコールをさらに渇望し、身体もすぐにまたアルコールに強く依存した状態に戻ってしまうのです。こうなっては元の木阿弥です。体が回復したからといって、節酒でお酒が楽しめるようになることはありません。 以上のように、アルコール依存症から回復するには節酒ではなく断酒が欠かせません。その決意をするためにも、カウンセリングで依存症に対する正しい知識を身につける必要があるのです。 |
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