2019/6/6

アルコールの専門機関で入院治療を受けても、退院後断酒を継続できる人は少数

 
 
アルコール依存症からの回復が難しいのは、依存症患者本人が依存症であることを認めたがらず、専門機関での治療が遅れるからです。たとえ早期に治療を開始しても、完全に酒を断てるようになるには年月を要します。
 
本人も家族も数年はしっかり治療に取り組む覚悟が必要です。

 
とはいえ、数年間禁酒・断酒が継続できれば、また元のように楽しくお酒を飲めるようになるわけではありません。すでに脳の回路がアルコールへの依存を作ってしまっているため、何年断酒を続けたところで、1滴でも飲めばたちまち再発してしまいます。
 
 
これが、依存症患者本人をますます治療から遠のかせる理由です。本人もやめたいとは思っていても、アルコールへの依存ができあがっている以上、それを排除するには相当な覚悟がいります。

 
 
そもそもアルコールに依存したきっかけが、生きづらさやコンプレックスの解消であることが多く、依存症患者本人は今までお酒があることで何とかやってこられたと感じています。アルコールを完全に排除するしかないといっても、患者本人にとっては恐怖なのです。そのため、何らかの理由を付けてお酒を飲むことを正当化して、せっかく禁酒・断酒を続けていたとしても、多くの人が再飲酒に陥ってしまいます。
 
 
アルコールの専門機関で入院治療を受けても、退院後断酒を継続できる人は少数です。入院中は強制的に断酒ができますが、自宅に帰れば家族といえども断酒を強制することはできません。本人にお酒をやめたいという相当な覚悟がないと続かないのが現実です。
 
 
また、依存症は飲酒をコントロールできない病気ですから、本人は固い決意をしているつもりでも、ふとしたきっかけで簡単にスリップしてしまいます。しかし、あきらめたら回復は一生あり得ませんから、専門の医療機関、自助グループ、当方のようなカウンセリングでお酒をやめ続けるための動機づけを日常的に繰り返すことが大切なのです。