2019/6/10

アルコール依存症の人が禁酒や断酒を難しく感じる原因

 
 
 
 
アルコール依存症に関しては「意志や決意が余りにも弱いから抜け出すことができないのだ」と考えている人が少なくありません。とはいえ、根本的な原因は「気持ち」ではなく「脳の働き」と大きく関係していることが分かってきています。
 
 
では、アルコール依存症の人が禁酒や断酒を難しく感じる原因について考慮してみましょう。

アルコール依存症は、脳がアルコールの影響を受けた状態を「正常」と認識してしまうことから生じます。つまり、酔っ払っている状態が通常と判断しているため、お酒が抜けてアルコール濃度が低くなると脳は何らかの異常が発生していると考えて危険信号を発するわけです。
 
 
この信号はイライラした状態や手の震えなど、人体の各部に不快な症状を幾つも引き起こします。アルコール依存症が深刻化してくると、脳は非常に強い信号を発して、お酒をすぐに飲まなければならないという強迫観念を感じさせることすらあります。
 
 
アルコールを摂取するとこれらの症状は緩和されるため、さらにお酒を飲むという習慣が出来上がってしまうのです。つまり、アルコール依存症は脳における異常な信号発信と関連した病気であるということができるでしょう。

 
アルコール依存症が深刻化してしまった場合、唯一の解決策はお酒をやめることです。残念ながら、依存症から脱却した後で再び適度にお酒を楽しむことができるようになったという事例はほぼ皆無です。
 
 
 
こうした事態に陥らないためには、お酒の嗜み方を常日頃からコントロールしておくことが大切でしょう。「毎日絶対にお酒を飲みたい」「お酒を飲まなければ楽しく過ごすことができない」と感じている人は、カウンセリングなどを活用して依存症に関する客観的な評価を受けることをおすすめします。