2019/6/10

「γ-GTP」はアルコールを分解する働きを持つ酵素

 
 
 
 
「健康診断で肝臓の数値に問題はないと言われたから自分はアルコール依存症ではない」という人がいます。では、肝臓が元気であればアルコール依存症ではないので禁酒や断酒は必要ないということになるのでしょうか。

 
 
重要なポイントは「アルコール依存症は脳に関連する病気であり、肝臓とは直接的な関係が無い」という点です。依存症は、アルコールの体内濃度を一定に保つため脳が指令を出すことにより、定常的に飲酒をするようになってしまうという問題です。
 
 
ですから、「お酒が強くて全然酔わない」という人や「肝臓の働きがとても良くて検査に引っ掛かったことが無い」という人であっても、アルコール依存症と診断されるケースは決して珍しくありません。

 
 
 
「肝臓が元気であれば健康である」という偏った見方を避けることも大切です。肝臓の働きを表す指標として「γ-GTP」が挙げられます。これはアルコールを分解する働きを持つ酵素のことで、正常値は男性が50IU/l、女性であれば30IU/l前後とされています。検査結果がこれらを上回っている場合、アルコールなどによって肝臓に強い負担がかかっていると判断されます。一方、正常値以下であれば問題なしと判断されるでしょう。

 
 
とはいえ、この検査で問題がないとされたのはあくまで「肝臓」であって、その他の器官で異常が発生している可能性は否定できません。例えば、プリン体を含むアルコール摂取によって尿酸値が慢性的に高くなると、痛風になるリスクが高まります。
 
また、飲酒による糖質摂取が過剰になることで、高血圧や高脂血症、心疾患の危険も増すのです。ですから、肝臓の値が良ければ禁酒や断酒は必要ないという考え方には注意が必要、ということを覚えておきましょう。