2019/6/10

アルコール依存症になってしまう飲酒量

 
 
 
アルコール依存症という言葉からは、相当に症状が進んでいる印象が感じられるかもしれません。
 
それこそ、日がな一日ずっとお酒が手放せない状態のようなイメージを持っている人もいるでしょうが、これは正確ではありません。
 
定義は国、病院などによって変わってくる場合があるものの、日本ではWHOによる診断基準であるICD-10がよく用いられます。
 
6つの症状のうち2項目以下が当てはまるならプレアルコホリック、いわゆるアルコールの乱用に当たると見なされるのです。
 
2つ以下ならアルコール依存症ではないが危険な状態、そして3つ以上に当てはまる場合はアルコール依存症と診断されます。

1つ目の症状は飲酒を強く求める欲望で、お酒が自宅にないと落ち着かない、お酒の誘いに目がないなどが代表的な症状です。
 
 
2つ目の症状はコントロールができないことで、3杯までと決めていたのに守れない、今日は飲まないと決めたのに飲んでしまうなどのことです。
 
3つ目は離脱症状で、こちらはアルコールを摂取していない時に出る不安感や頻脈などの精神的、肉体的な症状のことを指します。

4つ目はアルコールの耐性ができているかで、昔と比べて酔うまでのアルコールの量が増えている状態のことです。5つ目はお酒が生活の中心になっている状態で、休日にずっとお酒を飲んでいたり、お酒を優先するあまりに他のことに興味をなくしたりするなどが代表例です。
 
6つ目はすでに悪影響が出ているのにやめようとしない状態で、健康診断の結果が悪いのにお酒を手放せない、お金の余裕がないのにお酒に手を出すなどを指します。最初に書いた1日ずっとお酒を手放せない状態が大問題なのは当然として、そこまでではなくてもアルコール依存症と診断されることは珍しくはありません。
肝臓や腎臓への負担を軽減するため、定期的に休肝日つまりアルコール飲料を飲まない日を決めている人がいます。
 
では、アルコール依存症と診断された人の場合、禁酒や断酒はどれほどの期間を目安にすれば良いのでしょうか。

基本的には「一生断酒する」というのがルールです。
 
お酒を飲まなくなった後も、脳は体内のアルコール濃度が高い状態を記憶しています。そのため、アルコール濃度の上昇を検知すると、脳はわずかの時間でかつての依存症状態に戻ってしまうのです。
 
 
 
ですから、「一口しか飲まない」と決意していたとしても、本当に一口で止めるのはほぼ不可能でしょう。実際、アルコール依存症の人が一度断酒した後にアルコールを摂取すると、ほぼすべてのケースで酩酊状態まで行ってしまうということが報告されています。
 
中には、料理用のお酒から漂う香りに影響されてスリップしてしまった、というケースもあるほどなのです。
 
ですから、アルコール依存症を脱却するということは、嗜好品としてのお酒をあきらめることと同義であるという点を銘記しておきましょう。

一生お酒が飲めないという事態を避けるためには、いつもアルコールの摂取量を意識しておくことが大切です。
 
推奨されている基準としては、1日当たりの純アルコール摂取量を20g以下にとどめるというもので、グラスワインなら2杯程度、ビールであれば500mL未満とされています。
 
1日当たりの純アルコール摂取量が60gを超えると、アルコール依存症となるリスクが格段に高いということを覚えておきましょう。
 
また、お酒を飲む日と飲まない日を決めておく、というのもポイントです。
 
 
飲み会などで本来お酒を控える日にアルコールを摂取した場合には、飲まない日を別途設けるというルールを徹底すると良いでしょう。
 
   
上に書いた症状のうち1つでも当てはまっているなら危険性は十分あるので、禁酒や断酒の検討を始めるのも手です。