2019/6/10

父親、母親がアルコール依存症の場合は遺伝の可能性?

 
 

 アルコール依存症は遺伝する?

 
 
父親、あるいは母親がお酒を飲むと豹変するタイプだった、こんな家庭事情をお持ちの人もいらっしゃると思います。お酒を飲んで暴力を振るう、これがアルコール依存症と必ずしも結びつくわけではありませんが、その可能性は十分にあるでしょう。
 
両親のどちらか、あるいは両方にアルコール依存症の疑いがある場合、子供に遺伝するのかは非常に難しい問題です。
 
 
まず、現時点で遺伝については分かっていないことが多く、アルコール依存症についても具体的に遺伝のどの部分が関係しているかは判明していません。しかし、全く無関係というわけではなく、アルコール依存症は遺伝しやすい病気と考えてください。

そもそも、アルコール依存症に限らず依存症になりやすいかどうかは遺伝が大きく関係しているため、両親にアルコール依存症の疑いがあるなら特にお酒には気をつけてもらいたいと思います。
 
 
 
さらに、単純な遺伝の話だけではなく、暴力を振るわれるなどの虐待を受けて育った子供は、アルコール依存症に陥りやすいのです。

虐待の連鎖なんて言葉がありますが、児童虐待の加害者が子供の頃に虐待を受けていたなんて話は珍しくはありません。虐待をする側に回る以外に、アルコール依存症などの依存症に陥るリスクも高いとされています。
 
 
 
そのため、アルコール依存症を身近に感じて育った人は、お酒に手を出さないのがベストです。すでにお酒に手を出してしまい、自分自身もアルコール依存症の疑いがある、そんな場合はすぐに断酒や禁酒に取り組むのが重要です。
 
自分自身を大切にするためにも、次世代への悪い連鎖を食い止めるためにも、カウンセリングを受けるなどしてアルコール依存症を克服するため第一歩を踏み出してください。
 
 
 

  断酒のカウンセリング

 
 
 
アルコール依存症の治療でよく用いられるのが、カウンセリングです。カウンセリングというフレーズだけだとどのようなことをするのか分かりづらいかもしれませんが、一般的なアルコール依存症のカウンセリングでは効果が高いとされている手法を用いています。ただ、患者さんとの相性もあるため、複数のカウンセリングでアプローチする例も珍しくはありません。

アルコール依存症の治療に効果的とされているやり方の1つが動機づけ面接で、こちらは矛盾を気づかせるための手法です。体に悪いと分かってはいるけれどもやめられない、このようにアルコール依存症の患者さんは矛盾を抱えているのが普通です。
 
 
カウンセラーとの対話の中で、理想と現実の矛盾をはっきりさせ、患者さん自身にしっかりと認識してもらうことで治療を促します。患者さん本人だけでなく、その家族など身近な人をターゲットとしているのがコミュニティ強化アプローチと家族トレーニングです。
 
こちらは患者さんが頑なにアルコール依存症の治療を受けたがらない時によく用いられるやり方で、患者さんが治療を受けてみようと思えるように環境を整えていくのが大きな特徴です。
 
また、同時に家族など身近な人のケアのことまで考えられており、アルコール依存症の患者さんとの関係に疲れ果ててしまわないようケアをする点も見逃せません。

他にも手法はありますが、それぞれの患者さんに合ったカウンセリングで断酒や禁酒を目指していきます。
 
アプローチのやり方はそれぞれで異なりますが、その本質は患者さんに気づきを与えることであり、アルコール依存症を受け入れてもらう、アルコール依存症のままではいけないと認識してもらうことがスタートです。