2020/4/21

イネイブラーが断酒を妨げてしまう

 
 
 

 頑張り過ぎても上手くいかない

 
 
 患者を支える存在は、躍起になってしまってはいけません。アルコール依存患者とネガティブなイネーブラー(患者を支える存在)には共通点があります。
 
 
 
 それは、アルコール依存症患者が「お酒」のことで頭がいっぱいであるように、イネーブラー自身も「アルコール依存症患者」のことで頭がいっぱいになっていることです。
 
 
 愛情が強ければ強いほど、イネーブラーは患者の社会的孤立を避けようと迷惑行為の謝罪にいったり、お酒のための借金を肩代わりしたりします。
 
 
 そして患者の心が動き「お酒をやめたい」と改心するその瞬間を待ち続けます。その努力が上手くいかないと落ち込み、また何とかしようと奮迅し、上手くいかず、この悪循環の中でどんどん疲弊していきくのです。
 
 
 
 絶えきれなかったイネーブラーが逃亡、もしくは自らの命を絶ったとき、患者はどん底体験をします。
 
 
 
 これは絶望のようにも見えますが、これによって患者は動揺し、自らの生活を顧みることになり、かえって治療に繋がるケースが多いのです。
 
 
 
 イネーブラーが献身的に支え続けようとする限り、その囲いの中で守られた患者は中々治療に踏み出せません。
 
 
 ですからイネーブラーは患者に干渉しすぎないことが大切になります。そうすると世間から「冷たい家族だ」などと風評されるかもしれませんし、患者も大きく動揺するかもしれません。
 
 しかし家族が病気に対して理解をもちいい距離感を保つことは、患者の自立にとってとても重要な役割を果たしているのです。