2020/4/22
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飲酒の依存は、薬物などに比べると緩やか |
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アルコール依存症になると、起こる問題は身体的な離脱症状だけではありません。依存症によりアルコール物質とは直接関係のない様々な問題が起こってきます。 お酒を手に入れるために借金を抱えたり、酩酊状態で運転をして交通事故を引き起こしてしまったり社会的なトラブルを引き起こす場合があります。 家族や近所の人など対人関係も悪化したりします。夫婦が離婚に追い込まれたり、隣人とケンカになったりする例があります。 対人関係だけでなく、経済関係でもトラブルが起こってきます。身体的に仕事がままならなくなり収入源がなくなったり、収入源がないにも関わらず、どうしてもお酒がほしくなってしまったりと、経済的にも窮地に陥る場合があります。 それらの問題から精神的にも不安定になり、お酒をやめたいと思っても、さらに飲酒は加速してしまいます。 孤独感や絶望感が増し自傷行為に走ってしまう場合もあります。これらの問題の慢性化をそのままにしておくと、アルコール依存症による死をまねくことになってしまいます。 アルコールは薬物と違い飲むことは違法にはなりません。20歳以上になれば誰でも簡単に手に入り制限なく飲むことができてしまいます。 だからこそ、いつもの常飲が深酒になったり、たまの飲酒だったはずがストレスからいつのまにか許容量を超えてしまったり、不意な落とし穴は誰にでも訪れます。 アルコール依存のサインは、体だけでなく周りの環境からも現れます。早期治療のためにもそれらのサインを真摯に受け止めることが大切です。
アルコール依存の形成は、当人が気づかない間に起こっています。初めてお酒を飲んだ時の反応は、報酬効果と罰効果に分けられます。 報酬効果はお酒を好ましいと思う感覚で、罰効果はその反対の嫌悪感です。更に報酬効果は二つのパターンに分かれます。 中枢神経管に作用して陶酔感を与える作用、それから身体的精神的苦痛を軽減してくれる作用の2つです。 後者であった場合、苦痛の軽減や消失を行うために、反復飲酒になる可能性が高いです。 そして、そうなってくると、その反復飲酒をセルフコントロールする能力が求められます。 そして、飲酒を繰り返すうちに、体内で飲酒への耐性が作られていきます。耐性が作られるといつもの量では報酬効果は得られないことになります。 そうなると、反復飲酒ごと徐々に飲酒の量は増えていきます。アルコールに強いかどうかは、遺伝的にアルコール分解をする酵素が多いかどうかも関係してきます。先天的にあまり酒が飲めない方でも、後々の耐性の形成によって陥る可能性はあります。 飲酒の依存形成は、薬物などに比べるとゆっくりで、当人で自覚しにくいです。誰でも手に入れられて、陥りやすい依存症ということになります。 遺伝や常飲しているかどうかだけではなく、人間関係や、職場の状況など、環境による要因も深くかかわってきます。 増加する飲酒とそれをセルフコントロールする力が何らかの影響で均衡を崩すときに「お酒をやめたいと思ってもやめられない状態」つまりアルコール依存は形成されるのです。 |
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