2020/11/26

アルコールがないと正常な精神状態が保てない

 
 
 

少ない量でもアルコールは毒である

  
 
 
 
 「酒は百薬の長」と言われるように、確かにリラックス効果はあるかもしれませんが、最新の研究では少ない飲酒量でも、アルコールは毒であることが証明されました。健康の面で、肝臓に負担を与えることが危惧されるだけではなく、もっと恐ろしいのが「アルコール依存症」です。
 
 

 アルコール依存症

 

 
 アルコール依存症とは、長期間継続してアルコールを大量に摂取することによって、アルコールを摂取しないと正常な精神状態でいられなくなる病気のことです。アルコールの摂取の継続によって脳の仕組みが変化し、極度にアルコールを欲するようになります。その結果、気持ちが異常に高揚したり、イライラ感が発生したりします。また、動悸や発汗、手の震え、頭痛、不眠などの身体症状の現れることがあります。
 

  

 長期間お酒を飲んでしまった結果

 
 
 アルコール依存症の原因は、その人が特別に意志が弱いとか、何らかの性格的なものが影響しているということではありません。原因はあくまでも長期間にわたったエチルアルコールという「依存性薬物」の過剰な摂取です。長期間過剰な摂取を続けると、アルコールが体内に存在することが正常な状態と脳が認識するようになり、神経系の神経細胞の性質に変化をもたらします。そのため、血液中のアルコール濃度が低下すると、神経のバランスが乱れ、離脱症状が現れます。その結果、アルコールへの欲求が異常に高まり、アルコールを摂取するために、なりふり構わない行動を起こすようになります。
 


 日常生活が困難になる 

 
 
 
  アルコール依存症の大きな問題点は、時間や状況などを考慮せずに飲酒したくなるということです。従って、朝からの飲酒、仕事中の飲酒、家事をしないで飲酒ということが起き、日常生活や社会生活が困難な状況になります。当然、仕事や人間関係のトラブル、家族関係の破綻、飲酒運転など様々な問題を引き起こすようになります。重度になると、体内にアルコールの無いことに耐えられなくなり、一日中飲酒する「連続飲酒」と呼ばれる状態に陥ります。この状態になった場合は、肝臓や脳などに大きなダメージを与えていることが少なくありません。

 
 
 
 

  断酒する以外に方法はない

 
 
 アルコール依存症に対する治療の目標は、アルコールを一切断つこと(断酒)です。始めは外来治療を行いますが、通院では断酒が見込めない場合、または内科合併症が発症している場合は、入院治療で対応します。
 
 治療においては、様々な離脱症状を緩和するため、断酒初期では抗不安薬を投与されます。アルコール依存症の離脱症状は数日~2週間続きますが、離脱症状が落ち着いた後は断酒を継続するためのリハビリテーションが行われます。補助的に、アルコールを摂取すると不快感を抱く抗酒剤や、飲酒への欲求が下がる抗渇望薬が投与されることもあります。