2021/5/18

アルコール依存症の患者がお酒をやめたとき

 
 

 アルコール依存症の患者がお酒をやめたとき

 
 
 
 
 
 アルコール依存症の患者がお酒をやめたとき、数時間あるいは2・3日経つと、様々な症状が出てきます。
 
 
 例えば手や全身が震えて止まらない、血圧が上がり不整脈が起きる、熱が出てしまう、汗が止まらなくなる、強い吐き気があり嘔吐してしまう、イライラして集中力がなくなる、幻聴や幻覚などなど、枚挙に暇がありません。
 
 
 これらは禁断症状で、そう言った方が通じる方も多いと思われますが、医学的にはアルコール離脱症状と言います。体内のアルコール濃度が下がることで自律神経が過剰に活動してしまって起こる症状です。そしてこれらの離脱症状こそが、アルコール依存症を治療する上での大きな障害となります。この離脱症状はいつまでも続くものではなく、アルコールが抜けきると症状も治まります。
 
 
 日数的には1週間前後です。しかしその1週間の間は、激しい体調不良や不快感に襲われることになり、禁酒しようと思った気分だけでは、到底耐えられるものではありません。強い体調不良から、それをごまかすためにお酒を飲もうとしてしまい、そうするとアルコール濃度が上がることで離脱症状が一時的に治まってしまうので、アルコールを飲み続ける理由に、苦痛を避けたいからという理由も付いてしまうのが厄介です。
 
 
 禁酒、断酒ができるかどうかは、この離脱症状をどのように乗り越えるか第一ポイントになります。アルコール離脱症状の治療方法としては、各症状を抑える薬効のある薬を貰い、それを飲んで耐えると言うのが一般的です。
 
 
 ただ発熱や吐き気などは効果のある市販薬もありますが、幻覚幻聴を始め市販薬では抑えられない症状もあります。
 
 
 それらの症状にいかに耐えるかが、通院しないでアルコール依存症を治療する上でいちばん重要なポイントと言えるでしょう。離脱症状中は自律神経の動きが異常になっているので精神のバランスも崩しやすいですし、様々な症状によって体力も消耗しやすく、普段と同じように生活するのが難しくなります。
 
 
 
 この離脱症状が治まるまでの1週間は、できるだけ安静にできる環境を用意した上で禁酒に取り組むことが望ましいです。離脱症状は非常に苦しいものなので乗り越えるためには苦労しますが、逆に苦しいからこそ、一度乗り越えた後は二度とあんな思いをしたくないと考え、禁酒の意思を固める要因にもなり得ます。
 

離脱症状を切り抜ければ、後は身体が正常な状態に回復するのを待つだけです。